サマータイムは鵺(ぬえ)の妖怪
遠藤利明・元五輪担当相のインタビューでサマータイム推進論の煮こごりみたいのが出てきた。ほぼ全文が問題のある文章であり、サマータイム推進論の不可解さがここに結晶になっている。
東京五輪のレガシーに | サマータイム | 遠藤利明 | 毎日新聞「政治プレミア」
2020年の東京五輪・パラリンピックでは、レガシーは新幹線のようなハードではなく「ソフト」になる。一つはユニバーサルデザインの社会。そしてもう一つが低炭素社会だ。低炭素社会への取り組みの一つが、サマータイム制度の導入であり、世界に先駆けての(温室効果ガスを発生しない水素を中心とする)「水素社会」の実現だ。
まずユニバーサルデザインも低炭素社会もソフトよりハードが中心だと思うのだが。二酸化炭素排出量を減らせば自動的に水素を効率的に取り出す技術やそれを利用できるインフラが湧いて出るわけじゃない。
この冒頭の部分からして論理の流れもへったくれもなく「五輪」→「レガシー」→「ハードからソフトへ」→「サマータイム」→「低炭素社会」→「水素社会」という雑な連想ゲームになっていて、その中にサマータイムが強引に押し込まれている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では(中略)持続可能性に配慮した五輪 の運営を行うことにしている。低炭素社会への取り組みはその具体的な例になる。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、国際オリンピック委員会(IOC)の了承のもと、SDGsへの貢献を明確にしつつ、持続可能性に配慮した五輪 の運営を行うことにしている。低炭素社会への取り組みはその具体的な例になる。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、国際オリンピック委員会(IOC)の了承のもと、SDGsへの貢献を明確にしつつ、持続可能性に配慮した五輪 の運営を行うことにしている。低炭素社会への取り組みはその具体的な例になる。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、国際オリンピック委員会(IOC)の了承のもと、SDGsへの貢献を明確にしつつ、持続可能性に配慮した五輪 の運営を行うことにしている。低炭素社会への取り組みはその具体的な例になる。
新幹線と同じように、五輪開催を通じて日本の新しい社会のイメージを世界に発信してきたい。
サマータイム導入は単に時間を繰り上げるということではない。2020年をスタートにその後の日本の社会を変えていく契機の一つとして考えてほしい。
これまた「エコ五輪」→「日本の新しいイメージ」の間に「サマータイム」が割り込んでくる。サマータイムで低炭素社会実現できる根拠が示されないまま周知の事実として話が進められ、「日本の社会を変えていく」という大義名分が押し立てられる。
導入するまでにはさまざまな課題があることは十分承知している。幸いなことに日本にはこれまでの議論の積み重ねがある。その蓄積を生かしながら、準備をしていきたい。
ふむふむ、問題点とその議論については分かってるのだな。
欧米のように4月から半年ほど実施するのか、あるいは、7~9月のようにもっと短期間にするのか。また繰り上げる時間を1時間にするのか、2時間にするのか。
ちょっとまてーーー!!!
欧米のような高緯度でもないのに半年実施ってそんな議論あったのか?大抵の人は五輪競技の暑さ対策だと思っているぞ。そして「2時間にするのか」とさらっと入っているが「2時間早く起きて2時間早く寝る」のがそんなに簡単にできると思っているのか。爺さん方は平気だろうがね。(僕も年取ってきたのでわりと平気。でもみんなは?)
こういったことについては、決めつけることをせず、みなさんの意見をよく聞いて考えていきたい。
「みなさんの意見」のかなりの割合がそもそもサマータイム自体に反対なんですが、よく聞いて考えて頂きたいですね。
19年に試行、20年に本格導入というようなスケジュールありきでは考えていない。
ただし、五輪のレガシーにするという意味では、試行でもよいので、五輪開催時には導入したい。
それをスケジュールありきと言うんですよ。
その大半で廃止の検討が進んでますがね。
先行事例があるわけだからそれに学べばよいのであって、日本だけができないということにはならない。
それを漁業政策とか教育行政とか公文書管理とかで言ってもらいたいですね。失敗例に学んでどうする。
朝早く涼しいうちに通勤、通学し、早めに仕事を終えて余暇を有効利用する。
朝は涼しいかもしれないが早く帰れても猛暑の中で何を有効活用する?
働き方改革の趣旨にも一致する。いいタイミングだと思っている。
たしかに働き方改革の長時間労働野放しの趣旨には一致しているな。そして五輪になんでも盛って変な法案を通すにはいいタイミングだ。
もちろん、五輪の暑さ対策にもなる。
そもそも五輪競技の開始時間は国際標準時で決められているので実は日本が時計をずらしても関係ない。
この小さな大嘘をさっと最後に潜り込ませるとは上手いね―。
日本ではサマータイム導入はこれまで何度も挫折している。しかし、現在はこれまでとはエネルギーにたいする考え方が根本的に変わってきている。東京電力福島第1原発の事故があり、「原発があればいい」というわけにはいかなくなった。
サマータイム挫折の理由は長時間労働と睡眠障害の誘発。それとエネルギー問題は何の関係もない。ここでも「サマータイムで省エネ」が根拠なく前提条件になっていて、さらに原発を持ち出して補強する。
再生エネルギーを増やし、かつエネルギーのコストを下げなければならない。さらに二酸化炭素排出量を減らさなければならない。SDGsにも取り組まなければならない。
ならば、やはり五輪を機会にサマータイムを導入すべきだ。この機会を逃せば実現は難しくなる、と思っている。
再生エネルギーとサマータイム関係ありますかね?ご発言の主旨で言えばエネルギーのコスト下ががればむしろサマータイムいらないんじゃ?もしサマータイム=省エネが事実なら五輪関係なく導入すべきだろうし、それならなぜ「この機会を逃せば実現は難しくなる、と思っている」のか。
つまり、全部嘘だからでしょ?
-----
結局全文に近い引用になってしまったが、それだけこの元五輪担当相の発言はサマータイム推進論の意味不明さをよく表していると思う。まずサマータイム導入ありきで、そこからあらゆる話を持ってきて盛ってきて繋がらないままくっ付ける。まるで鵺の妖怪だ。
サマータイム導入論は妖怪のように存在理由や行動原理がよくわからない。さらなる長時間労働を可能にするための財界の働きかけだという見方が多いが、デメリットの多さに反対する声も多いらしい。となると意外に菅野氏の言うようなことが理由なのかもしれない。
東アジアにおいては、「暦と時間の概念を弄ることは権力者の嗜み」ですから、おそらく平成32年とか言いながらサマータイム議論してる官邸周辺はいまウホホッって鼻の穴膨らませて楽しんでると思いますよ。
— 菅野完事務所 (@officeSugano) August 6, 2018
まあ、そんな古代東アジアみたいなこと中国も韓国も卒業したんで、日本だけになりましたけどね
https://twitter.com/officeSugano/status/1026601869865439232
https://twitter.com/officeSugano/status/1026601869865439232